
[調律]
ベストな音程を見出す
音程(ピッチ)をコントロールしながら、楽器にとって最適なハーモニーを実現する「調律」。
基準音をもとに88鍵すべてを構築していく、調律師の優れた耳と感性。
その数値化できない技術は、高価なチューニングメーターでも達成しきれない「人間にとっての心地よい音程感」をもたらす。
また、楽器ごとにそれぞれ異なる調律曲線は、調律師が楽器の特性を正しく理解し、ピアノの「声」に寄り添うことでのみ、導き出される。
ピアノの声に心を委ね、楽器が最高の調和を奏でるための答えを見つける。それこそが「調律」の真髄である。
※基準音 … A=440Hzや442Hzなど。専用の音叉やチューニングメーターが用いられる。
※チューニングメーター … 音程測定器。ギターなどで使われるものと異なり、調律師用の高精度かつ高額なものが存在する。
※調律曲線 … 一般的に低音はより低く、高音はより高く調律される事で、その楽器にとって自然なハーモニーを実現する。チューニングカーブ。
調律料金 | 新規 | 定期 |
---|---|---|
アップライトピアノ | ¥17,600 | ¥15,400 |
グランドピアノ | ¥20,900 | ¥18,700 |
※定期…当社で1年に1回以上調律されている場合。長期間調律されていない場合はご相談ください。
※区域により出張料金が発生する場合があります。
※消費税10%を含んだ料金です。
※学校・ホール・飲食店などの備品調律や、複数台数の調律、コンサート・発表会の立合い調律も承ります。
- 調律はなぜ必要?
- 正しく調律されたピアノは、単音を弾いても音の揺れがなく、和音を弾けば美しい響きになります。特に子供は音に敏感なため、美しい音律のピアノで練習することが重要と言われています。
また、普段弾いていなくても、季節の変化や湿度・温度の影響で音律がズレていきますが、それは「ピアノが木でできている楽器」だからです。ピアノの支柱や外装の大きな部分から、ミリ単位の細かい部品まで、カエデやスプルースなど何千もの木材パーツで構成されています。そのため、演奏者自身が調整や調律を行うことは難しく、調律師という専門職が必要である理由です。
定期的な調律は、美しい演奏のためだけでなく、演奏者の音感を正しく保つためにも欠かせません。

[整調]
ピアノの構造を再構築
約8000もの部品から構成されるピアノは、時計にも似た精密な仕組みを持つ。
鍵盤の自然な打鍵感とダイナミクス――ピアノを通じて奏者の感情を正確に伝えるために重要な役目を担う「ピアノアクション」は、いわばピアノの心臓部であるが、時間の経過や四季の環境変化の中で、その調和は次第に崩れていく。
「整調」とは、長年の演奏により疲弊したアクションを再び整え、ピアノに新たな息吹を与えるべく再構築する工程である。
滑らかな鍵盤の動きと均一なアクションの挙動を取り戻したとき、ピアノは再びその本来の音色を奏ではじめる。
調律の正確性のみならず、楽器の寿命すら左右してしまう「整調」。
ピアノは生きている――そう信じるからこそ、調律師は真摯に取り組んでいる。
整調料金 | 所要時間 | 基本料金 |
---|---|---|
アップライトピアノ | 約3時間 | ¥26,400~ |
グランドピアノ | 約4時間 | ¥35,200~ |
※通常の調律に、簡易的な整調作業を含める場合があります。
※区域により出張料金が発生する場合があります。
※消費税10%を含んだ料金です。
- 整調の重要性とは?
- 整調は、調律と同様に専門的な技術であり、技術者がミリ単位以下の精度で調整を行います。ピアノの鍵盤の高さが均一でない場合、整調が乱れている可能性があります。整調が大きく乱れると、鍵盤を押しても音が鳴らなくなることもあります。
こうした問題は調律師によって調整できるため、故障ではありませんが、通常のピアノ調律では整調まで行われることは少なく、調律師が簡単にチェックする程度の場合が多いです。
整調も調律と同じように変化します。特に湿度や温度差が激しい環境にあるピアノは変化しやすく、定期的な整調が必要になります。特にグランドピアノは、繊細な表現力を持つため、整調が重要になります。

[整音]
音の個性を創る
人間が音色の違いを認識するとき、最も影響を与えやすいのは「立ち上がり(打音)」である、と音響心理学の分野では定説化されている。
そのため、ピアノの音色と個性は弦を打つハンマーの品質によって、大きく左右されてしまう。
羊毛フェルトで作られるハンマーは、長年の演奏や経年によって硬化し、音色や表現力に悪影響を及ぼす。
「整音」はハンマーの硬度や形状を調整し、打音を整えることで音色の生命を蘇らせる作業であり、調律師の熟練した手によって、硬質な金属音が柔らかく温かな音色に生まれ変わっていく。
音色そのものを操り、楽器のポテンシャルを最大化する「整音」は、調律師の個性が最も反映される場面である。
その一方で、下手な整音はハンマーの寿命を縮める場合もあるため、熟練の技術が必要とされる。
ピアノの製造年数など様々な要素を考慮しながら精密にフェルト調整を行う――調律師が最も神経をすり減らす瞬間である。
整音料金 | 所要時間 | 基本料金 |
---|---|---|
アップライトピアノ | 約3時間 | ¥33,000~ |
グランドピアノ |
※通常の調律に、簡易的な整音作業を含める場合があります。
※区域により出張料金が発生する場合があります。
※消費税10%を含んだ料金です。
- 整音の重要性とは?
- 整音は、ピアノの音質を細かく調整する高度な技術であり、特にハンマーに針を刺す作業が重要になります。この針刺しによってハンマーのフェルトがほぐれ、音が柔らかくなるのですが、その調整には熟練した経験が必要です。硬いハンマーを柔らかくすることはできても、柔らかくしすぎたハンマーを元に戻すのは困難であり、刺す角度や深さによって音の変化が微妙に異なるため、慎重な作業が求められます。
整音によってピアノの音色は大きく変わるため、演奏者の求める音に合わせて適切に行う必要があり、大変重要な作業であり、経験豊富な技術者による精密な調整が、美しい響きと演奏の表現力を支えているのです。