白いピアノMC202を再生!

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。
私たちの工房もかすかに秋の気配を感じ、ようやく長かった猛暑から解放されつつあります。

今回は当工房で手掛けた「白い小型のピアノ(YAMAHA MC202)の再生」をご紹介させていただきます。

工房からの素敵な夕焼けをバックに

小さな白いピアノ再生

外装もキズが目立ち、全体的にくすんでしまったこのピアノ。
かわいらしいサイズ感ですが、作業内容は決して小さなものではありませんでした。

経年劣化でペダルや金属類には錆びが見られ、内部のピンや弦も変色で古びた印象。
これらも1本1本丁寧に磨き上げ、新品同様の輝きに!

アトリエ自慢の設備

三木楽器ピアノアトリエの塗装室には、自慢のウォーターブースが設置されています。
※空気中に飛び散る塗料を水で吸い取り、きれいな空気だけを外に出すことで周囲への汚れやにおいを防ぐ装置。

私たちが吹き付け塗装をする際の強い味方!
このブースのおかげで扱える塗料の種類も多く、より高品質な仕上がりが可能になっています

塗装においては、環境が仕上がりを大きく左右します!
湿度や気温・空気の流れ、さらに「埃」への対策が必須。ウォーターブースがあることで、こうした条件をコントロールしやすくなり、日々の作業の支えとなっています。

…それでもなお、「白色の塗装」は別格の難しさがあります。

白塗装=埃との闘い

今回のピアノは、やはり白い吹付け塗装が大きな課題。
塗装中、ごく小さな黒っぽい塵が空中を舞い、塗膜に付着してしまうことがあります。
白い表面ではそれが非常に目立ち、やり直しが必要になる場面もしばしば…

ウォーターブースをはじめ、可能な限り環境を整えていても、100%は防ぎきれない――
それほどに「白」の塗装は繊細で、完璧な仕上げを目指すには根気と集中力が何よりも必要なのです。

いよいよ組み立て工程へ

磨き・パーツ交換・塗装を終えたすべてのパーツの組み立て。
完成が近づくにつれて、気分もペースもどんどん上がります。

汚れや虫くいで傷んだフェルト類も丁寧に剥がし、すべて貼り替えです。
白いボディーに真っ赤なフェルト!素敵なコントラスト!
(E.YAZAWAを思い出したそこのあなた!同世代ですね…)

完成!そして次のピアノへ――

まるで生まれ変わったような、小粋で魅力的な1台に仕上がりました。

時間も手間も掛かりましたが、それだけに完成した姿は格別。
このピアノが素敵な出会いに恵まれ、美しい音色を奏でてくれる日が待ち遠しいです。

私たちは、明日からまた新たなピアノと向き合います。