MIKIGAKKI PIANO ATELIERhttps://atelier.miki.co.jp三木楽器 [ピアノ調律・修理・買取] 専門チームThu, 13 Nov 2025 11:43:53 +0000jahourly1https://atelier.miki.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/cropped-20230808_027-scaled-1-32x32.jpgMIKIGAKKI PIANO ATELIERhttps://atelier.miki.co.jp3232 鍵盤の違和感、もしかしてブッシングクロス⁈https://atelier.miki.co.jp/blog20251113/Thu, 13 Nov 2025 08:14:42 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1858

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。 突然ですが、いつも弾いているピアノの鍵盤が「ガタガタして弾きにくい!」なんて感じたことはありませんか? 演奏の妨げになるそんな違和感…実は鍵盤に貼り付けられているパーツが原 ... ]]>

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。

突然ですが、いつも弾いているピアノの鍵盤が「ガタガタして弾きにくい!」なんて感じたことはありませんか?

演奏の妨げになるそんな違和感…実は鍵盤に貼り付けられているパーツが原因かもしれません。

通称ブッシングクロスというフェルトです。

鍵盤の感触を支える大切なパーツ

ブッシングクロスは、鍵盤に2か所ある穴の内側に貼られているフェルトです。

鍵盤の動きをスムーズに保つための❝クッション❞のような役割を果たしています。

MT
MT

靴をはくときの靴下のようなものです!

使い込まれたピアノでは、このフェルトがすり減ったり、硬化したりして、気になるガタつきが出てきます。逆に長年弾かれずに置かれていたピアノでも、虫くいや湿気の影響で傷んでいるなんて事も珍しくありません。

残念ながら、よく演奏していても放っておいても劣化してしまう繊細な部分なんです。

実際の症状をご紹介

ピアノの内部はネズミだけでなく様々な害虫に食い荒らされていることがあります。

食い荒らされたブッシングクロスと鍵盤下のパンチングクロス(赤いところ)

実際の貼り替え作業

今回は、鍵盤の動きに不具合がみられたピアノのブッシングを貼り替えました。以下はその工程です。

鍵盤を取り外し

鍵盤下と鍵盤中央にある赤いフェルトがブッシングクロスです。

古いクロスの除去

単純作業ですが木部が一緒に剥がれてしまわないよう慎重に!

新しいクロスを貼る

専用のクロスを正しいサイズにカットしてひとつひとつ手作業で!

鍵盤の取り付け

不具合がないか確認しながら取り付けて…

完了

見た目もすっきり生まれ変わりました♪

弾き心地がガラリと変わる

クロスを貼り変えるだけで、驚くほど弾き心地が変わります。

指に吸い付く感触・音の立ち上がり・鍵盤の戻りすべてが生き返ったような軽やかさに‼

お客様から「全然違う!」「弾きやすくなった!」と喜びの声をいただけるとっても嬉しい瞬間です。また、ブッシングクロスが見えないところで重要な役割を果たしてくれていることを実感します。

最後に・・・

ブッシングクロスの劣化は、なかなかご自身で確認しにくい部分ですが、演奏の快適さとピアノ内部の環境を左右する重要なパーツです。

もし「最近ちょっと鍵盤の動きが気になるな…」と違和感を感じたら、ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。鍵盤のタッチが生き生きと蘇るよう私たちが心を込めて整備させていただきます♬


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タッチのわずかな違いの原因は|ペダル鍵盤修理【エレクトーン ELS-02C】https://atelier.miki.co.jp/blog20251110/Mon, 10 Nov 2025 13:10:25 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1867

電音技術者YKです。 三木楽器ピアノアトリエには、ヤマハ電気音響製品認定技術者(略して電音技術者)も在籍しています。 電音技術者?なんだそれは?と思う方もいらっしゃると思いますので、簡単にご紹介いたします。 電音技術者っ ... ]]>

電音技術者YKです。

三木楽器ピアノアトリエには、ヤマハ電気音響製品認定技術者(略して電音技術者)も在籍しています。

電音技術者?なんだそれは?と思う方もいらっしゃると思いますので、簡単にご紹介いたします。

電音技術者って、どういう人?

ヤマハでは電子ピアノ、エレクトーン、ハイブリッドピアノなどの電子楽器も多く取り扱っていますが、それらの修理に携わる技術者が“ヤマハ電気音響製品認定技術者”です。

その資格や技術を得るためにはヤマハで一定期間の研修を受け、資格更新のための研修が毎年複数回あります。常に技術と知識の研鑽を行っている、いわばヤマハ製電子楽器のスペシャリト。
全国では約350人ほどの技術者がいるそうです。

※ヤマハWeb音遊人の記事“楽器修理のプロたちの最後の拠り所「技術サポートセンター」”より

三木楽器ピアノアトリエでは現在、ピアノ調律師が電音技術者を兼任し、2名体制で修理対応にあたっています。

なんて、前置きが長くなってしまいましたが、電音修理についての最初のブログでは、エレクトーンのペダル鍵盤修理をご紹介します。

エレクトーンSTAGEAのペダル鍵盤修理

ヤマハ エレクトーン ELS-02C

1959年に誕生し、60年以上の歴史をもつエレクトーンの、現行モデル上級機種です。

リアルな音!繊細な表現力!!シュッとした外観!!!

そんな三拍子そろった素敵な楽器ですが、やはり使えば使うほどに傷んでしまう部分もあります。

その中で、今回ご紹介する内容は“ペダル鍵盤で特定の音が鳴りにくい”という症状についての修理です。

ペダル鍵盤はエレクトーンの特徴の一つ、足で押さえる(弾く)鍵盤です。

エレクトーンは電子オルガンの一種であり、その電子オルガンの草分け的存在であるアメリカのハモンドオルガンは、シアターオルガン(パイプオルガンの一種)を家庭でも楽しみたいという思いで作られた、といわれています。

※ヤマハ 楽器解体全書…エレクトーン誕生ストーリーより

電子オルガンであるエレクトーンにも、その影響からかパイプオルガンのようなペダル鍵盤が付けられています。

今回は、そのペダル鍵盤の音が鳴りにくい、ということでした。

症状のご指摘を頂いたのは、写真で押さえている“レ”の音ですが、他の音と比べてみると確か鳴りにくい。正確に言うと、鍵盤を押さえて音が鳴る位置が、他の鍵盤より遅い(他の鍵盤より深く押さえないと鳴らない)。

音が鳴らない、鳴りにくいという症状は、ペダル鍵盤以外でもよくある症状です。

電子ピアノや電子オルガンで音が鳴る仕組みは、鍵盤下に収められた接点ゴムが、鍵盤によって押し込まれて、基板側の接点に接触することで電気が流れ、音源が収められた基板からスピーカーやヘッドフォンへと音が出力される、というものが多いです。

(光や電波を使用して発音している電子楽器もあります)

今回の症状の原因として疑われるものは、接点ゴムまたは基板の劣化、接点の汚れなど。

確認のために、ペダル鍵盤を分解します。

なかなか見られないペダル鍵盤の中身

ELSシリーズでは、ペダル鍵盤は一つのユニットとして本体から取り外しが出来、鍵盤自体はフレームに裏側からネジ止めしてあります。ネジを外して分解して行きます。

下の写真が、接点ゴムです。

二本ある黒い部分が基板側の接点へ接触することで音が鳴りますが、接点ゴムに異常がないか、外してチェックしてみます。ひどい場合には見るからに破れていたりしますが、今回はそんな様子はなさそうです。

手で押さえたり曲げたりしながらチェックしてみると、おかしな部分がありました。

僅かに裂けています。

ほんの僅かな裂け目ではありますが、この裂け目が押し込まれた際の形状やたわみ方に影響を与えます。今回の症状であればこの裂け目が原因となり、押し込まれた際に基板への密着度が足らなかったり、接触のタイミングにズレが発生するなどの結果(症状)へと結びつきます。

その他にも、接点ゴムが完全に破れてしまい全く音が鳴らない(接点ゴムが接点に接触しない)ことがあったり、基板側の接点が腐食してしまい音が鳴らないなど、“音が鳴らない・鳴りにくい”という症状だけでも、原因はいくつか考えられます。

念のために他の接点ゴムも全てチェックし、劣化しているものは新しい接点ゴムに交換、基板接点もクリーニングをして、元に戻して行きます。

修理は完了!しても話が終わらない…のも、よくある話

最後にペダル鍵盤の発音チェック、その他部分も正常に動作するか確認を行い、修理は完了。

無事に症状も改善され、この瞬間には技術者としても喜びを感じます。

ここで、動作チェックの意味も含めてサラっとカッコよく演奏!…出来たらよかったのですが、あいにくエレクトーンをそんな風に素敵に弾く力もなく…。

ただ、世の中には素晴らしいエレクトーンプレイヤーの方が、沢山いらっしゃいます。

そこで、先日「楽器店大賞2025」で「プレイヤー部門 〜楽器店員が、この先の活躍を応援したい若手アーティスト/グループ 大賞」を受賞された、素敵なプレイヤーさん「井上暖之さん」のアーカイブ動画を引用しましてご紹介いたします。

※楽器店大賞2025 表彰式 アーカイブ動画より

いやあ、カッコいいですよね。こんな素敵な演奏を耳にすると、自分でも弾いてみたい!と感じずにはいられません。私も家にはエレクトーンがあるので練習すれば良いのですが、練習…しないと上手くはならないですもんね。

人には『練習はやっぱり大切ですよ~!』なんて言っておきながら、自分は練習大嫌いというのは、ここだけの話です。

エレクトーンはリズムや打楽器の音も出すことができるので、バンドやオーケストラのような演奏も一人で可能。鍵盤を押さえた後でも音に変化をつけられたり、音の組み合わせも自分で設定できたりと、ピアノとはまた違う表現力も持っています。

流行りのあの歌も!カッコいいあのジャズバンドも!

ゲーム音楽だったり、クラシックの名曲であったり、演奏できるジャンルはとても幅広いです。

ね?ちょっと弾いてみたくなりませんか?

私はとても弾いてみたいです!

練習は…?検討します。

なんて、余談まで長くなってしまいましたね。

今回の修理紹介は、ここまでです。

三木楽器ピアノアトリエではエレクトーンだけでなくヤマハ製電子ピアノ(Clavinova、ARIUSなど)、ハイブリッドピアノ(Avantgrand)などの修理も行っております。

電源が入らない、音が鳴らない、鍵盤が戻らないなど、なにか不具合や違和感を感じていらっしゃる方は、まずはお気軽に三木楽器ピアノアトリエまでお問い合わせください。ご相談お待ちしています。


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おしゃれは足元から?ペダルの再生作業https://atelier.miki.co.jp/blog20251030/Thu, 30 Oct 2025 11:07:07 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1835

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエで外装補修を担当しているYCです。 現在、ピアノアトリエでは店頭販売用のグランドピアノを整備中です。 今回は、ペダルアッセンブリーの再生作業をご紹介させていただきます。 みなさんのご家庭 ... ]]>

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエで外装補修を担当しているYCです。

現在、ピアノアトリエでは店頭販売用のグランドピアノを整備中です。 今回は、ペダルアッセンブリーの再生作業をご紹介させていただきます。 みなさんのご家庭のピアノもペダルや蝶番などの金属類は少しづつ変色したり、錆びが出たりする事があります。 このピアノもペダルは変色していて、突き上げ棒も酷く錆びています。

まずは、ペダルと突き上げ棒を外し、1つずつ丁寧に磨き上げる作業です。 回転式の機械でどんどん汚れや錆びがなくなり、新品同様の輝きを取り戻します。

実をいうと、私はこの研磨作業が大好きです! 磨いた金属がピカピカに光っていく様子はこの作業ならではの爽快感があり、とても気持ちが良いです。 次に、柱部分の作業に進みます。 塗装面には少し深い傷がありました。 このキズの修復は、まずキズ周りを含め整形し、補修剤が馴染みやすいように整えます。

傷に補修剤を埋めて、しばらく乾燥させておきます。

しっかり固まったところで補修剤を研磨し整形していきます。 最後に回転式のバフで全体を磨き上げていくのですが、このバフの当たりどころが少しでもズレるとパーツごと飛んでいってしまいかねないとても危険な工程なので、ここはとにかく慎重に進めます。

ペダル窓の赤いフェルトは、変色やすり減りが見られたので全て剥がし、新しいものに交換しました。 ペダルが外された状態の3つの窓はかわいらしデザインだなと思います!

三木楽器の中古再生ピアノは、このフェルトだけでなく外装部分に使用されている全てのフェルト類を新品に交換しています。 最後に少し色褪せて古びた印象になってしまっているペダル柱の接続部分も、 黒の塗料を吹き付けることによって蘇りました。

ようやく完成です! 変色しているペダルや金属部分が光輝くとピアノ全体の雰囲気もガラリと変わります。

三木楽器ピアノアトリエでは、販売用の整備だけでなく、お客様のピアノをお預かりしてクリーニングやキズ修理等、様々なご要望にお応えしています。 現在お使いのピアノでお悩みなどございましたら、どんな事でもお気軽にお問い合わせください。 お待ちしています!


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白いピアノMC202を再生!https://atelier.miki.co.jp/blog20250920/Sat, 20 Sep 2025 10:01:47 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1802

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。私たちの工房もかすかに秋の気配を感じ、ようやく長かった猛暑から解放されつつあります。 今回は当工房で手掛けた「白い小型のピアノ(YAMAHA MC202)の再生」をご紹介させ ... ]]>

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。
私たちの工房もかすかに秋の気配を感じ、ようやく長かった猛暑から解放されつつあります。

今回は当工房で手掛けた「白い小型のピアノ(YAMAHA MC202)の再生」をご紹介させていただきます。

工房からの素敵な夕焼けをバックに

小さな白いピアノ再生

外装もキズが目立ち、全体的にくすんでしまったこのピアノ。
かわいらしいサイズ感ですが、作業内容は決して小さなものではありませんでした。

経年劣化でペダルや金属類には錆びが見られ、内部のピンや弦も変色で古びた印象。
これらも1本1本丁寧に磨き上げ、新品同様の輝きに!

アトリエ自慢の設備

三木楽器ピアノアトリエの塗装室には、自慢のウォーターブースが設置されています。
※空気中に飛び散る塗料を水で吸い取り、きれいな空気だけを外に出すことで周囲への汚れやにおいを防ぐ装置。

私たちが吹き付け塗装をする際の強い味方!
このブースのおかげで扱える塗料の種類も多く、より高品質な仕上がりが可能になっています

塗装においては、環境が仕上がりを大きく左右します!
湿度や気温・空気の流れ、さらに「埃」への対策が必須。ウォーターブースがあることで、こうした条件をコントロールしやすくなり、日々の作業の支えとなっています。

…それでもなお、「白色の塗装」は別格の難しさがあります。

白塗装=埃との闘い

今回のピアノは、やはり白い吹付け塗装が大きな課題。
塗装中、ごく小さな黒っぽい塵が空中を舞い、塗膜に付着してしまうことがあります。
白い表面ではそれが非常に目立ち、やり直しが必要になる場面もしばしば…

ウォーターブースをはじめ、可能な限り環境を整えていても、100%は防ぎきれない――
それほどに「白」の塗装は繊細で、完璧な仕上げを目指すには根気と集中力が何よりも必要なのです。

いよいよ組み立て工程へ

磨き・パーツ交換・塗装を終えたすべてのパーツの組み立て。
完成が近づくにつれて、気分もペースもどんどん上がります。

汚れや虫くいで傷んだフェルト類も丁寧に剥がし、すべて貼り替えです。
白いボディーに真っ赤なフェルト!素敵なコントラスト!
(E.YAZAWAを思い出したそこのあなた!同世代ですね…)

完成!そして次のピアノへ――

まるで生まれ変わったような、小粋で魅力的な1台に仕上がりました。

時間も手間も掛かりましたが、それだけに完成した姿は格別。
このピアノが素敵な出会いに恵まれ、美しい音色を奏でてくれる日が待ち遠しいです。

私たちは、明日からまた新たなピアノと向き合います。


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明治時代のヤマハピアノ「山葉洋琴」修復https://atelier.miki.co.jp/blog20250909/Wed, 10 Sep 2025 00:45:27 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1765

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。先日より開成館にて展示中の「山葉洋琴」修復作業に携わらせていただきました。創業200周年を迎えました三木楽器の歴史を、この1台のピアノを通じてより広くより深く紡いでいければ幸 ... ]]>

こんにちは!三木楽器ピアノアトリエのMTです。
先日より開成館にて展示中の「山葉洋琴」修復作業に携わらせていただきました。
創業200周年を迎えました三木楽器の歴史を、この1台のピアノを通じてより広くより深く紡いでいければ幸いです。

明治時代に製造されたこのピアノは、当時の職人の繊細な技術と高い美意識を今に伝える、たいへん貴重な文化遺産です。
そのため、三木楽器ピアノアトリエでの通常再生整備とは異なり、今回は単なる技術的な作業にとどまらず「過去」と「未来」をつなぐ架け橋として、心を込めて向き合いました。

入庫後の状態

修復に際して、イメージとして思い描いたのは、時代劇に登場する和箪笥(わだんす)や文机(ふみづくえ)のような品々。
そんな場面にも調和するように、またこのピアノをご覧になった方々に「きっと長きに渡って大切に拭き上げられてきたんだろうな」と、時代の重みを感じていただけるような仕上がりを目指しました。

外された燭台付き上前板

作業に取り掛かって、まず印象的だったのは、用いられている木材の上質さと、当時の職人による非常に丁寧な仕上げ。
長い年月を経ると「木が反る」「接着が剥がれる」「腐食が進む」などにより、様々な手当てが必要になりますが、このピアノにはそうした劣化がほとんど見られず、反りもなく接着部分もしっかり保たれていました。

分解清掃中
象牙製の白鍵盤

そのため、今回はカビや煤(すす)の除去、そして自然な艶が出るよう「掃除感覚」のアプローチで修復を進めました。
漆塗りと思われる塗装を剥がさず、また艶が出過ぎないよう、全体をムラなく整える工程は、単純作業でありながら、なかなか容易ではありません。
和室の床柱(とこばしら)を磨き上げるような感覚で、細やかな装飾や繊細な彫刻部分が美しく際立つよう意識しながら、アンティークとしての風合いを損なわないよう、細心の注意を払いました。

Before
After

また、普段は目に付かないフレーム部分(弦の張力を支える鋳鉄製の枠)にも、洒落たデザインが施されており非常に印象的です。ここにも当時の職人の「こだわり」「プライド」「遊び心」が垣間見えます。

フレーム部分の装飾

なお、解体した部品のなかに当時のピアノ職人さんが書いたと思われる「署名」のようなものも発見されました。読み取る事は困難ですが「音平さん?」「晋平さん?」という方のようです。
まさか120年近く経って自分の署名が発見されるとは思いもしないでしょう。現代の職人である私も、未来の職人さんが見て恥ずかしくない仕事をしていきたいものです。

拍子木裏のサイン

解体時に中から古い切手が二枚みつかりました。紛れ込んだ経緯はわかりませんが、戦後すぐのものらしいので、まさにタイムカプセルのようなピアノ。

第一次新昭和切手「1円50銭」
灰皿のようなガラス製インシュレーターが使われていた

ヤマハがピアノ作りを始めて10年経たない時代のモデルですが、現代のピアノにはない『重厚でありながら洗練された職人技』が光ります。
今回出逢えた貴重なピアノが、未来を生きる人々にも当時の職人たちの技術と精神を伝え続けていただけますよう願っております。

このような貴重な機会をいただき、修復を前に多くの方々にご意見をいただきました事を心より感謝申し上げます。


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夏季休業日のお知らせhttps://atelier.miki.co.jp/info250801/Fri, 01 Aug 2025 08:45:44 +0000https://atelier.miki.co.jp/?p=1525

いつもMIKIGAKKI PIANO ATELIERをご利用いただきまして誠にありがとうございます。

誠に勝手ながら、以下の期間は窓口業務を休止させて頂きます。
ご不便をお掛けいたしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

<休業期間>
2025年8月10日(日)~ 2025年8月17日(日)

9日10日11日12日13日14日15日16日17日18日
××××××××
●:通常営業 ×:休業日

尚、休業日中も問合せフォームより問い合わせ受付可能ですが、
回答は営業日に順次ご対応させていただきますので、あらかじめご了承ください。

お客様には大変ご不便をおかけ致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

問合せフォーム

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